遺言・相続

遺言について

ひと昔前までは、「多額の資産を持っている人だけが遺言を行うもの」と思われがちでした。今では財産の規模にかかわらず、遺言を残すケースが増えています。
弁護士の立場からも、さまざまな理由から遺言を残されることをおすすめします。

遺産相続時のトラブルを未然に防ぐ

死は、どのタイミングで訪れるかわかりません。特にお子さまが2人以上いる方は、資産の金額が少額であっても生前に遺言を残しておきましょう。

遺言書は法的な効力を発揮します。いざ遺産相続が起きた際に、遺言書がないばかりに子ども同士や親族間で起こりうるトラブルを未然に防ぐ、大きな役割を果たします。また、残された親族によって遺言内容の納得の度合いに違いがあったとしても、「遺言だから」と丸くおさまるケースがほとんどです。

法定相続人に該当する方は、被相続人(亡くなった方)の死後、四十九日の法要が終わったくらいのタイミングでご相談に来られることをおすすめします。煩雑な遺産相続の手続きを代行してもらえる点でも、弁護士に依頼する価値は十分にあると思います。

遺言書の種類

遺言書は、普通遺言書4種類、特別方式の遺言書3種類の合計7種類が、民法で定められています。
遺言書は、偽造や変造がされないように厳格な方式が定められています。規定に従って作成しなければ無効になるため注意が必要です。

普通遺言書の種類

1)自筆証書遺言
・遺言書の中で最も簡単な方式で、費用をかけることなく作成することができる。
・作成における証人が不要。
・作成内容を秘密にすることができる。ただし、法律の定めに対する違反や曖昧な内容が含まれる場合は、無効になることがある。
・遺言書の紛失や隠匿のリスクがある。
・家庭裁判所で必ず検認を受けなければならず、その際は各種書類を揃え、相続人もしくは代理人が出頭しなければならない。
・作成に関しては楽だが、その後の手続きが煩雑。

2)公正証書遺言
・遺言内容を遺言者から聞き、公証人が作成する。
・遺言が無効になることがなく、遺言の偽造の可能性がないため、相続開始の際、家庭裁判所による検認が不要。
・遺言書の保管は公証人役場にて行うため、紛失した際も再発行が可能。
・作成の際に証人が必要であり、公証人役場への手数料がかかる。

3)秘密証書遺言
・あまり使う機会はない。遺言内容を誰にも知られたくない際に使う。
・作成後に公証人と証人に秘密証書遺言であることを証明してもらわなければならない。

特別方式遺言書の種類

1)一般危急時遺言
・危篤になり、遺言書の必要が差し迫った際に使う。
・家族によって危篤かどうかの判断が行われ、危篤と判断されれば、危篤時遺言が可能となる。その際、証人が3人以上必要となる。

2)難船危急時遺言
・船舶による遭難により危篤になった際の遺言書。
・一般危篤時より深刻な事態であるため、一時危篤時よりも条件が緩和される。

3)一般隔絶地遺言
・伝染病に侵され、行政処分により一般社会との交通を絶たれた場所に隔離されている際の遺言。
・隔絶地に被相続人がいるため、公正証書遺言と秘密証書遺言は利用できない。
・簡易的な方式の自筆証書遺言が認められている。

4)船舶隔絶地遺言
・船舶中であることが条件。
・海洋を航海する船舶に限られるが、航海中か停泊中かは問われない。
・3)の一般隔絶地遺言と同様に、簡易的な自筆証書遺言方式となっている。

相続について

トラブルに発展する前にご相談を

遺産分割の際、複数いる相続人の中の誰かによる、公平とはいえない言動が原因で、トラブルが生じることが多くあります。相続トラブルから親族間の関係が悪化し、ついには親族間で相続紛争にまで発展することもあります。
次のようなことでお悩みの場合は、ご相談ください。

  • 遺産の内容や相続人の範囲がわからない
  • 遺産分割の進め方がわからない
  • 遺産分割の話がまとまらない
  • 遺産分割にあたり、親族間でトラブルが起きる可能性がある

相続の手順

1) 相続人の確定
・まず、被相続人(亡くなった方)の出生からの戸籍謄本などを調べて、相続人を確定させる。
・遺族の中に知らない相続人が存在することもある。

2) 相続財産を調べる
・被相続人の所有する不動産、預貯金、株などの財産の調査を行う。

3) 遺言書の有無の確認
・被相続人が遺言書を残しているかの確認を行う。
・遺言者がある場合、原則としてその内容に従う。

4) 相続人の確定
・遺言書、相続順位により相続人を確定する。

5) 被相続人の確定申告
・相続人の所得税の確定申告を行う。

6) 遺産分割協議書の作成
・相続人の間で遺産分割を協議し、合意したら遺産相続協議書の作成を行う。
・合意に至らない場合、家庭裁判所へ調停を申し立てる。

遺産産分割協議書

遺産分割がまとまらない場合は、専門知識を持つ第三者に相談するのが望ましいといえるでしょう。遺産分割調停は、家庭裁判所へ調停の申立てを行い進めます。調停で話がまとまらない場合は自動的に審判手続きに移行し、裁判官がさまざまな事情を考慮して遺産分割の審判をします。

相続人の範囲

相続人の第1順位である子どもの存在の有無を確認し、また、何人いるかを確定させるために、被相続人の出生からすべての戸籍謄本を取り寄せて調べます。高齢で亡くなった場合は、戸籍が少なくとも3~4通はありますが、そのすべてを取り寄せる必要があります。
また、被相続人に子どもがいなくて、相続人の第2順位にあたる両親・祖父母がすでに亡くなっている場合、相続人の第3順位にあたる兄弟姉妹が存在しているか調査します。この場合は、被相続人の両親の出生からの戸籍謄本をすべて取り寄せる必要があります。