2015.09.25更新

医療事故調査制度について、私は医療機関側の弁護士としてこれまで準備を重ねてきましたのでよく知っていますが、一般の方々で詳細をご存じの方は少ないのではないでしょうか?

医療事故調査制度は、改正医療法の「医療の安全の確保」の章に位置づけられ、医療事故の再発防止により医療の安全を確保することを目的とした制度で、平成27年10月1日から実施されることが予定されています。

今日は、この医療事故調査制度の概要を説明したいと思います。

まず、医療事故調査制度における調査の流れですが、医療機関で死亡・死産事例が発生した場合、当該医療機関が「医療事故」に該当するか否かの判断を行い、「医療事故」に該当すると判断した場合は、医療機関は遺族への説明、医療事故調査・支援センターへの報告、必要な調査の実施、調査結果について遺族への説明及びセンターへの報告を行います。

また、医療機関又は遺族から調査の依頼があったものについて、センターが調査を行い、その結果を医療危難及び遺族への報告を行います。

この「医療事故」とは、①当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、②当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの、をいいます。

この「①医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産」とは、診察、検査、治療によって起こった死亡又は死産をいいますが、その他に転倒・転落に関連するもの、誤嚥に関連するもの、患者の身体的拘束、身体抑制に関連するものも含まれうることが特徴的です。

これに対し、施設の火災、地震・落雷等の天災、自殺等による死亡は含まれません。

また、「②死亡又は死産を予期しなかったもの」という要件は、例えば医師が患者等に事前に説明していたり、診療録等へ事前に記載していたりすれば、該当しないことになります。

 なお、この制度において、

「医療事故」に該当するかどうかについては、医療機関の管理者が組織として判断するととされており、ご遺族から医療事故調査・支援センターに報告する仕組みではありません。

 この医療事故調査制度、10月1日から開始されますが、最初は医療機関も手探りの部分があろうかと思います。実際にどのように運用されるのか、私も注意深く見守りたいと思います。

2015.09.25更新

医療事故調査制度について、私は医療機関側の弁護士としてこれまで準備を重ねてきましたのでよく知っていますが、一般の方々で詳細をご存じの方は少ないのではないでしょうか?

医療事故調査制度は、改正医療法の「医療の安全の確保」の章に位置づけられ、医療事故の再発防止により医療の安全を確保することを目的とした制度で、平成27年10月1日から実施されることが予定されています。

今日は、この医療事故調査制度の概要を説明したいと思います。

まず、医療事故調査制度における調査の流れですが、医療機関で死亡・死産事例が発生した場合、当該医療機関が「医療事故」に該当するか否かの判断を行い、「医療事故」に該当すると判断した場合は、医療機関は遺族への説明、医療事故調査・支援センターへの報告、必要な調査の実施、調査結果について遺族への説明及びセンターへの報告を行います。

また、医療機関又は遺族から調査の依頼があったものについて、センターが調査を行い、その結果を医療危難及び遺族への報告を行います。

この「医療事故」とは、①当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、②当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるもの、をいいます。

この「①医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産」とは、診察、検査、治療によって起こった死亡又は死産をいいますが、その他に転倒・転落に関連するもの、誤嚥に関連するもの、患者の身体的拘束、身体抑制に関連するものも含まれうることが特徴的です。

これに対し、施設の火災、地震・落雷等の天災、自殺等による死亡は含まれません。

また、「②死亡又は死産を予期しなかったもの」という要件は、例えば医師が患者等に事前に説明していたり、診療録等へ事前に記載していたりすれば、該当しないことになります。

 なお、この制度において、「医療事故」に該当するかどうかについては、医療機関の管理者が組織として判断するとされており、ご遺族から医療事故調査・支援センターに報告する仕組みではありません。

 この医療事故調査制度、10月1日から開始されますが、最初は医療機関も手探りの部分があろうかと思います。実際にどのように運用されるのか、私も注意深く見守りたいと思います。

2015.05.27更新

 私や他の弁護士の常識を覆すであろう東京地裁2014/4/14判決が、5月25日発売の判例集(判例タイムズ1411号312頁)に掲載され、弁護士の間で話題となっていますので、紹介しておきます、、、

 事案の概容は、、、
 クラブのママである被告Yと、クラブの顧客だったAとの間に、7年間にわたる継続的な不貞行為があったことより、精神的苦痛を被ったとして、原告X(Aの妻)がYに対し400万円の慰謝料を請求した事案です。
 AとYとは、月に1~2回の頻度で土曜日に昼食をとった後、ホテルに行って夕方に別れるというパターンを繰り返していた。AはYのクラブに月1~2回には定期的に通い、同業者を連れていくこともあったという優良顧客でした。
 判決の結論は、「仮にAとYの間に継続的な不貞行為があったにせよ、、、Xとの関係で不法行為は成立しない」としています。
 判決の概容は、、、
1、AとYとの性交渉は典型的な枕営業に該当する。
2、一般に、夫婦の一方の配偶者Aと肉体関係を持った第三者Yは、故意または過失がある限り、配偶者Aを誘惑するなどして肉  体関係を持つに至らせたかどうか、AY両名の関係が自然の愛情によって生じたかどうかにかかわらず、他方の配偶者Xの夫または妻としての権利を侵害することになり、その肉体関係は違法行為となり、他方の配偶者Xの被った精神上の苦痛を慰藉すべき義務がある(最高裁判例)。
3、しかし、ソープランドに勤務する女性のような売春婦Zが、対価を得て妻Xのいる顧客Aと性交渉を行った場合、当該性交渉は当該顧客Aの性欲処理に商売として応じたにすぎず、何らAX間の婚姻共同生活の平和を害するものではないから、たとえそれが長年にわたり頻繁に行われ、そのことを知った妻Xが不快感や嫌悪感を抱いて精神的苦痛を受けたとしても、売春婦Zは妻Yに対する関係で慰謝料支払義務を負わない。
4、ところで、クラブのママやホステスが、自分を目当てとして定期的にクラブに通ってくれる優良顧客や、クラブが義務づけている同伴出勤に付き添ってくれる顧客を確保するために様々な営業活動を行っており、その中には、顧客の要求に応じて性交渉をする、いわゆる枕営ことは公知の事実である。
5、クラブのママYが枕営業として顧客Aと性交渉を反復継続したとしても、売春婦Zの場合と同様に、顧客Aの性欲処理に商売として応じたにすぎず(枕営業の対価は顧客がクラブに通って馴染み客として支払う代金の中に間接的に含まれている)、何らAX間の婚姻共同生活の平和を害するものではないから、そのことを知った妻Xが精神的苦痛を受けたとしても、妻Xに対する関係で不法行為を構成するものではない。
 

2015.05.01更新

 私は仕事柄、離婚に関する相談をよく受けるのですが、その際、相談者から時々出てくる質問が、「妻が勝手に家を飛び出して、現在長期間別居中である。ところが、私が仕事で留守中に、妻が自宅に無断で立ち入り、妻名義の預金通帳を持ち出したようだ。妻のこのような行為は犯罪になるのでは?」というものです。

 まず、長期別居中の妻が、勝手に相談者の自宅に入る行為は、住居侵入罪(刑法130条)という犯罪が成立します。
 この点、もともと一緒に暮らしていた家なのに、なぜ勝手に入ると犯罪になるのか、という疑問が生じますよね?
 これを理解するためには、まず、刑法が住居侵入罪を処罰するのはなぜか?言い換えると、住居侵入罪は、いったいどのような利益を守ろうとしているのか、を考えなければなりません。

 刑法の住居侵入罪がどのような利益を守ろうとしているのかについては、大別して2つの考え方があります。
 まず、①住居権説(新住居権説を含む)という考え方があります。この考えは、そこに住んでいる人が、誰を家に入れるか決める権利を持っているので、その権利を侵害するから、勝手に自宅に侵入する行為は違法だという考え方です。
 この住居権説からは、誰を家に入れるかは、家に住んでいる人間に決める権利があると考えるので、長期別居中の夫婦の場合、事前に承諾を得ていない限り、住居侵入罪が成立することになります。

 また、②住居の平穏説という考え方もあります。この考えは、住居の平穏な状態を侵害するから勝手に住居に侵入する行為は違法だという説です。
 この住居の平穏説からは、長期別居相手が勝手に家に入る行為は、住居の平穏な状態を害する行為と考えられるので、住居侵入罪が成立することになります。

 次に、長期別居中の妻が、妻自身の預金通帳を持ち出した行為はどうでしょう?この預金通帳は、妻自身の持ち物(所有物)なので、窃盗罪が成立しないかのように思えます。
 しかし、刑法242条には、「自己の財物であっても、他人が占有し、又は公務所の命令により他人が看守するものであるときは、この章の罪については、他人の財物とみなす。」と規定されています。
 つまり、たとえ自分の所有物であっても、他人が占有する物を勝手に持ち帰ったりすると、窃盗罪が成立するのです。

 だだ、直系血族・配偶者および同居の親族間で行われた窃盗は、たとえ犯罪が成立しても、刑が免除されるという刑法の規定があります(刑法244条)。
 よって、この場合、無断で自分の通帳を持ち出した妻の行為は、窃盗罪が成立するけれども、結局刑は免除されることになります。

 なお、別居中、離婚をするか、婚姻を継続するかを決めかね、悩んでおられる相談者もよくおられます。このとき、私は裁判所の調停手続を利用するよう勧めます。
 一般に、調停というと、離婚調停として、離婚に向けた話会いしか行われないかのように思われている方が多いですが、夫婦が円満な関係でなくなった場合には,円満な夫婦関係を回復するための話合いをする場としても、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
 調停手続では、当事者双方から事情を聞き,夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、その原因を各当事者がどのように努力して正すようにすれば夫婦関係が改善していくか等、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をする形で進められます。
 なお,この調停手続は離婚した方がよいかどうか迷っている場合にも,利用することができます(以上、裁判所HPより引用)。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!

2015.04.22更新

 さきほど、Yahoo!ニュースで『隣の家の電気を自宅に引いて使ったとして、京都府警木津署は4月中旬、京都府木津川市内の女性を「窃盗罪」の容疑で逮捕した。報道によると、女性は2014年3月から2015年1月にかけて、隣家の屋外に設置してあった給湯器用のコンセントに延長コードを差し込み、約2万2000円分の電気を盗んだ疑いがもたれている。「家の電気が止められ、エアコンなどに使っていた」と容疑を認めているという。』というニュースが配信されていました。

 このように、電気を盗んだとして逮捕、送検、起訴される事件は時々報道されます。ほとんどは、逮捕されたとしても微罪処分として処理され、送検、起訴される事案は少ないと思われますが、時には起訴され有罪判決を受けるような事案もあります。

 例えば、2010年4月13日の大阪地裁判決では、電気料金の滞納で電気を止められた男性が、テレビ見たさにアパートの共用コンセントから電気(2円50銭相当)を引いてテレビを見ていたという事件で、大阪地裁は男性に懲役1年(執行猶予3年)の刑を言い渡しました。
 
 刑法では、窃盗罪は「財物」という「形あるもの(有体物)」を想定していますので、過去には電気が財物にあたるかどうかが議論されていました。そのため、1907年に刑法に特別の規定を作って、電気は財物と「みなす」(刑法245条)と定められ、電気窃盗は刑法により処罰される行為となりました。

 みなさんも、携帯電話の充電のために、コンビニエンスストアのトイレのコンセントを勝手に使ったり、喫茶店のコンセントを勝手に使ったりすれば犯罪となりますので、店の了解を得るなどして、コンセントの無断使用にはくれぐれもご注意くださいね。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!

2015.04.20更新

 先日、知人から「ある人が年金を受給しているのだが、その人の年金が支給される銀行口座を債権者に差し押さえられた。しかし、年金は差押禁止財産なので差押えはできないのでは?」という質問がありました。

 確かに、年金、給料、生活保護費などは、受給者及びその家族の生活を支えているものですから、法律上、差押えが禁止されています(これらを、差押禁止債権といいます。)。

 だだし、これらの差押禁止債権も、受給者の預金口座に振り込まれて通帳・カードで自由に引き出せる状態になると、受給者の一般財産として債権者による差押えが原則として可能となります。

 一定の経験を積んだ債権回収担当者であれば、債務者から言葉巧みに年金等の振込口座を聞き出し、また振込日を推測することは容易なので、振込のタイミングを見計らって差押えをかけてくることが時々あるんですね。

 このように、いったん預貯金口座に振り込まれた年金等が差し押さえられた場合、これを取り戻すことは容易ではありません。
 方法としては、民事執行法に規定されている差押禁止債権の範囲変更の申立を行うことになります。この申立がなされると、種々の事情を考慮して、裁判所は差押命令の一部又は全部を取り消すことができるとされています。
 だだ、この申立が認められたとしても、その時点では差押債権者が銀行等から取り立てを完了しているのが通常です。よって、この申立により差押命令が取り消されたとしても、債権者が「あっそうなんですね~。それでは取り立てたお金を任意に返却させていただきま~す。」という対応をすることは考え難く、再度取り立てたお金を返せ、という裁判を起こさなければなりません、、、

 また、これら一連の返還手続きを行うことは、専門家である弁護士に依頼しなければ困難ですが、年金、給与、生活保護費等の生活の糧を差し押さえられた方が、即座に費用を払って弁護士に依頼するということがどれだけ期待できるが疑問ですので、差押えを受けた債務者は泣き寝入りをしているのが現状ではないでしょうか?

 そこで、借入があり、その借入につき差押え可能な状態(典型的には、裁判の判決が確定しているなど)に置かれている債務者は、唯一の収入が振り込まれる口座が差押えられて生活に困窮しないよう、当面、年金、給与等は手渡しで受け取るという対策が必要でしょう。

 そして、根源的には、法的に差押えをされてしまう状態となっていることが問題なのですから、それを取り除く方策、具体的には自己破産手続を行い、支払い義務を法的に免責してもらうことをお勧めいたします(ちなみに、この自己破産手続き(同時廃止)は、法律扶助制度を用いれば、総額15万円余の弁護士費用を、月額5000円~10000円の分割で支払うことができます。)。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!

2015.04.15更新

 先日、「フィリピンで13歳から14歳の少女らを含む1万2000人以上を買春していた横浜市内の中学校元校長が、児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で神奈川県警に逮捕された。」という報道がありました。

 この被疑事実自体、絶句するような内容なのですが、それはさておき、この報道によると、「日本人が外国で犯した犯罪に対して、日本の警察が被疑者を逮捕した。」とのことです。この報道に対し、「日本人が外国で罪を犯した場合、日本の警察に捕まるの?」と疑問を持たれた方も多いと思います。

 このように、日本人が外国で犯した犯罪を国外犯といいます。この国外犯に対して、日本の刑罰権が原則として及びませんが、例外的に刑法第3条で処罰の対象とされています。
 刑法第3条は、「この法律(刑法)は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。」と規定しており、「次に掲げる罪」とは、主なもので放火、私文書偽造、強制わいせつ、強姦、殺人、傷害、誘拐、名誉毀損、窃盗、強盗、詐欺、業務上横領、等が掲げられています。

 また、今回の報道では、被疑者は「児童買春・児童ポルノ禁止法違反」で逮捕されていますが、この「児童買春・児童ポルノ禁止法」も第10条において、国外犯を処罰する規定が設けられていますので、被疑者はこの規定に基づいて日本の警察に逮捕されたわけです。

 これに対し、例えば、現金を賭けるカジノは、日本国内で行えば賭博罪で処罰される行為ですが、マカオやラスベガスでは、現地の法律で合法とされ、かつさきほど述べた日本の刑法3条でも賭博罪の国外犯規定はないので、お咎めなし、ということになるのです。

 この刑法の国外犯規定、数十年前の司法試験の択一(マークシート)試験の過去問題ではよく目にしました。私も大昔に司法試験の刑法の勉強を始めた際に、いちばん最初に勉強した分野なので懐かしく思い、思わず今日のブログのテーマとさせていただきました。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!

2015.04.14更新

 先日、不動産業を営む友人から「店舗を借りていた人が死亡した場合、賃貸借契約は終了するのか?」という質問があったので、今日のブログのテーマとさせていただきます。

 結論から言うと、賃貸借契約は借主死亡によって終了せず、賃借権は借主の相続人に当然に承継されることになります。借主の相続人が複数の場合、賃借権はその全員が共同相続することになります。
 例えば、奥様に先立たれた1人暮らしの借家住まいの男性が亡くなられた場合、男性のお子さん3名がご存命であれば、このお子さん3名が賃借権を共同相続することになるのです。

 このとき、賃貸人(家主さん)は、お子さんの連絡先がわかれなければ、新たに賃借人となるお子さんたち(相続人)を探さなければなりませんが、個人で賃借人の戸籍調査等を行うことは不可能ですので、戸籍調査は専門家である弁護士等に依頼することになりますね。
 
 戸籍調査の結果、相続人がわかった場合、賃貸借契約を終了させるには、相続人全員に対して解除の意思表示をする必要があるので、戸籍調査によって相続人を全員確認しておく必要があります。

 一方、戸籍調査の結果、戸籍上相続人がいない場合もあります。このような場合は、賃借権や部屋に残された動産類の財産は、「法人」(民法951条)となり、賃貸借契約は相続財産法人との間で継続することになります。

 この場合、相続財産法人との間で賃貸借契約を解除するための交渉相手は、「相続財産管理人」ということになり、賃貸人は、家庭裁判所に対して相続財産管理人選任の申立をし、相続財産管理人を裁判所に選任してもらった上で、相続財産管理人との間で賃貸借契約を合意解除することになります。この相続財産管理人選任の申立においては、将来の相続財産管理人の報酬予定額(最低20万円程度)を家庭裁判所に予納金として納付する必要がありますので、相続財産が少額の場合は賃貸人の持ち出しになってしまいます。

 時々、「借主が死亡し、借主の関係者の連絡先がわからないから、契約を終了させて部屋に残った荷物(動産類)をこちらで廃棄処分してよいか?」と家主さんから相談されることがありますが、法の建前としては前記のとおり、相続人調査を行い、相続人がいない場合は裁判所に対して相続財産管理人選任申立、の手続きを踏むことが必要です。
 そうでないと、家主さんが勝手に賃借人の家財道具を処分した後に相続人があらわれて、損害賠償請求される、などのトラブルに発展することがありますからね。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!

2015.04.06更新

 小学生が蹴ったボールが校庭から飛び出したため、通りかかったバイクがハンドル操作を誤って転倒。乗っていた人が負傷し、後に死亡した。このとき、「子どもの責任は親がとれ」と訴えられたら、、、こんな裁判の弁論が3月19日、最高裁第1小法廷で開かれ、判決期日が4月9日と指定された、という報道が先日ありました。

 どのような事案かというと、11歳の小学生が蹴ったサッカーボールが校庭の門を超えて道路に飛び出してしまったところ、たまたまオートバイで通りかかった85歳の男性がボールを避けようとしてハンドル操作を誤って転倒し、その後、寝たきりの状態となって死亡したという事件です。

 1審大阪地裁、2審大阪高裁とも子どもの過失行為(誤って校庭外へ飛び出すボールを蹴った行為)と被害者死亡との因果関係があるとした上で、両親の監督責任を認め、損害賠償請求の一部を認める判決を下しています。
 だだ、最高裁では慣例として、2審の結論を変更する際には弁論が開かれることから、両親の監督責任を認めて賠償を命じた2審判決が見直される可能性が高くなったため、今回のような報道がなされたのです。

  1審2審では、85歳という高齢の男性が、オートバイで走行中に転倒すれば骨折してしまうこと、骨折してしまったら高齢のため治りが悪く寝たきりになることが容易に想定され、寝たきりになれば嚥下障害が発生してしまうことは普通の人の感覚から通常生じるといえ、ボールを飛び出させたことと死亡との因果関係を認めました。

  また、民法上、損害賠償責任を負わせるためには、行為者に責任能力がなければならないとされており、おおよそ12歳くらいであれば責任能力があるとされています。
  そして、今回のように、11歳の子どもで責任能力がない場合には、子どもの監督者である親が十分な監督をしたことを立証できない限り、親が監督責任を負うことになるのです。
 この「親が十分な監督をした」という立証は非常に難しく、多くの裁判例では子どもが他人に損害を与えた場合、ほとんど親の監督責任が認められています。
今回のケースでも、1審、2審ともに両親は十分な監督をしたとはいえないと認定しており、従来の裁判例の傾向に沿う判断を行いました。
 
  だだ、親の立場からすると、子どもに対して、「校庭でサッカーをしているとき、ボールをゴールに向かって蹴る際には周りの状況をよ~く確認して、外に飛び出す危険を感じたなら、決して飛び出すような強さでボールを蹴ってはいけません!」「校庭で野球をしているとき、打撃をする場合は、自分の飛距離をちゃんと把握し、外に飛び出す危険を感じたら、決して全力でバットを振ってはいけません!」などと子どもに注意している親がどれだけいるか疑問ですよね、、、

 今回、最高裁が結論を見直すとすれば、これまでの親に監督責任を認める裁判例の傾向に対して、流れを変えるものになると思われます。その意味でも、4月9日の判決の結論には注目したいですね。

 なお、お子様がおられる家庭では、子どもが起こした事故で親の監督責任を問われた際に備えて、個人責任賠償保険への加入は必須ですので、加入の有無、支払限度額について今一度確認しておくことが必要です(通常は、個人責任賠償保険は自動車保険や火災保険に特約付帯されていますが、この特約付帯を含めてご確認を!)
以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!

2015.04.01更新

 先日、知り合いが交通事故に遭ったということで、加害者側の保険会社から「治療費は被害者の健康保険を使って支払って欲しい」との打診があったが、これに応じても構わないのか?と友人から相談がありましたので、これを今日のブログのネタにさせてもらいます。

 交通事故の被害者となった場合、加害者が任意保険に入っていれば、通常は、加害者が加入している保険会社が治療費を支払うことになります。
 その際は、保険会社と病院が直接連絡を取り合って、保険会社が病院に直接自由診療扱いでの治療費の支払いを行うので、被害者にとっては自己負担がなく、安心して治療を受けることができます。

 しかし、被害者側にも過失があり、加害者側から過失相殺が主張されるような場合、後で損害賠償請求をするときに、被害者が受け取ることができる金額が減ってしまうことがあります。このような場合を想定して、治療費を自分の健康保険を使って支払う方が良い場合もあります。(実際には、過失割合が生じる交通事故の場合、加害者側の保険会社から健康保険を使っての治療を打診されることが多いです。その際、こちらは被害者なんだから、何故自分の健康保険を使わなければならないのか!と違和感を感じる方もおられるでしょうが、冷静になって健康保険を使った方が良い場合もあるのです。)

 例えば、歩行者が赤信号で横断歩道の横断を開始し、直進車が黄色信号で進入して歩行者に接触した場合、過失割合は歩行者(被害者)50%、車両(加害者)50%となるのが基本です。そして、治療費200万円、その他の損害(休業損害や通院慰謝料など)400万円、損害額の合計600万円というケースを想定します。
 このとき、被害者は、加害者に対して、加害者の過失の割合に応じた金額、つまり600万円×50%=300万円の損害賠償を請求することができます。

 このケースでは、加害者の保険会社は、示談するまでの間に、病院に治療費全額の200万円を支払ってしまっているので、示談金額は、過失相殺後の損害額300万円から支払済みの治療費200万円を差し引いた残りの100万円となります。

 しかし、ここでもし、被害者が自身の健康保険を使って支払った場合には、示談金額が増えることになります。
 健康保険を使った場合には、保険診療となり、治療費が自由診療のときのおおむね半額で済むことになります。上の例で言うと、治療費が100万円になり、かつ、健康保険の自己負担割合は3割ですから、自己負担額は30万円になります。
このとき、被害者の損害額は、治療費30万円(70万円は健康保険組合に払ってもらっているので)、その他の損害400万円、損害額の合計430万円となります。この430万円に過失相殺すると、430万円×50%=215万円となります。
 ここから被害者が自己負担部分として支払った30万円を差し引いたとしても、被害者の手元には185万円が残されることになり、加害者の任意保険会社から直接治療費を支払ってもらったときと比べると、85万円分だけ受け取る金額が大きくなります。

 これが先日の友人の質問に対する詳細な回答となります。T君、理解いただけたでしょうか?

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした!
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