2013.04.25更新

 誤解その2...「ウチの会社は、経営不振となってリストラ策を検討中なのに、それでも高年齢者の継続雇用をしなければならない?」
 これも結論から申し上げると、このような場合に継続雇用を行わなくても法律上問題はありません。
 あくまで、高年齢者雇用安定法は高齢者の継続雇用の制度作りを企業に求めるものであって、経営難に陥っている企業に高年齢者を65歳未満でリストラのために退職させることを禁止したり、定年後の再雇用をしないことを違法とするものではないのです(もっとも、解雇の場合は、別途解雇規制の要件があります)。
 前回、今回と高年齢者雇用安定法に関するよくある誤解をご紹介しましたが、トラブルを未然に防止するためには、労使間であらかじめ早い段階から継続雇用における労働条件について話し合いの機会を持つ、再雇用が出来る環境にあるかどうかを説明するといったコミュニケーションをとることが大切です。
 

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした。

投稿者: みずほ法律事務所

2013.04.23更新

前回に引き続き、高年齢者雇用安定法についてご紹介いたします。今回は、この法律に関するよくある誤解についてご説明いたします。
誤解その1...「継続雇用における労働条件は従前と同じでなければならない?」
結論から申し上げると、高年齢者雇用安定法の趣旨・目的に反しないものであれば、必ずしも労働者の希望に合致した職種・労働条件による雇用である必要はありません。
 ですから、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務、隔日労働勤務といった形態による雇用でも構いません。また、従前の仕事と異なる内容の仕事及び引き下げた賃金を提示することも認められます。よって、企業側が合理的な労働条件を提示したものの、労働者との合意が得られず、継続雇用が成立しなかったとしても、同法に違反するものではありません。
 ただし、言うまでもなく、無条件に賃金の低下が認められるものではなく、あくまで「高年齢者雇用安定法の趣旨・目的に反しない」労働条件を提示すべきですので、再雇用の労働条件について検討されている担当者の方は、専門家に相談されるとよいかと思います。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした。

投稿者: みずほ法律事務所

2013.04.22更新

「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(通称・高年齢者雇用安定法)の改正」というトピックについては、新聞やテレビで一度は目にされているのではないでしょうか。
この高年齢者雇用安定法を含む労働分野の法律は、今、非常に注目を集めています。というのも、この前のH24年通常国会で①前記・高年齢者雇用安定法の改正、②労働契約法の改正、③労働者派遣法の改正、と労働分野において企業の人事・労務に大きな影響を及ぼす3つの法律に大きな改正があったためです。
今回は、このうち平成25年4月1日に施行された高年齢者雇用安定法の改正内容について触れたいと思います。
まず、高年齢者雇用安定法は、従前から「高年齢者雇用確保措置」として、定年の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、次の3つの措置うちのいずれかを講じなければならないとしています。
その講じなければならない措置とは、①定年の引き上げ、②定年の定めの廃止、③継続雇用制度の導入、のいずれかです。
このうち、①定年の引き上げ、②定年の定めの廃止などは、退職金の取扱い等、労使関係に重大な影響を与えることが多いので、多くの事業主は、③継続雇用制度を選択しているようです。
③継続雇用制度とは、現に雇用している高年齢者が希望するときは、その高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいい、これにも③a定年後再雇用制度と③b勤務延長制度の二つの制度があります。
③a定年後再雇用制度とは、定年に達した者について、いったん定年退職させたのち、再度雇用の期間を定めて新たな雇用契約を締結する方法をいいます。この場合、雇用形態を、正社員から臨時またはパートなどに変え、1年ないし数年間の期限の定めある雇用契約で再び雇い入れることになります。この方法を選択する会社が多いようです。
他方、③b勤務延長制度とは、定年年齢に達した者を退職させないで、同労働条件のみ変更して勤務を継続する制度をいいます。
では、このような内容の高年齢者雇用安定法について、この4月1日からどのような改正がなされたのでしょうか。
これまでは、労使間の協定で、③の継続雇用制度を採用する場合、継続雇用の対象者を限定できるものとされていました(例えば、「継続雇用希望者のうち、勤務評定がC以下の者を除く」等)。しかし、今回の改正法では、このような限定の仕組みが廃止され、希望者全員を継続雇用の対象としなければならないとされました。この「限定の仕組みの廃止」が今回の改正の目玉です(もっとも、既に上記限定の仕組みを定めている会社においては、限定の廃止については経過措置が定められています)。
もっとも新聞紙上等で「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」という言葉が一人歩きしているせいか、この法律の適用について、誤解をされている方が多いように思われます。そこで、次回は、改正高年齢者雇用安定法についてのよくある誤解をご紹介いたします。

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投稿者: みずほ法律事務所

2013.04.08更新

近時、新しいライフスタイルとして入籍をせず事実婚(法律的には「内縁」の夫婦)を選択するカップルが増えているという話題をよく耳にします。
 ただ、ある程度の年齢に達すると自分に万が一のことがあった場合、内縁の妻(夫)に財産を残すことができないか、内縁のパートナーの経済面を心配になられる方も多いようです。
 現在、内縁の妻には労災保険法や厚生年金法では妻と同等の保護が受けられますが、民法上は保護されません。つまり内縁の妻には、共同生活の長さに関係なく、内縁の夫の相続権は発生しないのです。
 もっとも、亡くなった方に相続人が誰も居ない場合であれば、「特別縁故者」として家庭裁判所で財産分与を受ける可能性がありますが、兄弟や子供、あるいは戸籍上の妻が居る場合にはこの「特別縁故者」としての財産の分与も認められません。つまり、法律上の相続人が居る場合、内縁関係のまま何もしないでいると、内縁の夫婦の一方がお亡くなりになった場合、その財産はすべて法律上の相続人に相続されてしまい、内縁のパートナーには一切残らないことになってしまうのです。
 そこで、内縁のパートナーに財産を残すためには遺言をして遺贈する方法を採っておくのがよいでしょう。この場合、公正証書遺言によるのが望ましいです。
 ただ、遺言で全ての財産をパートナーに遺贈する旨を定めても法律上の相続人には遺留分(一定の相続人に一定の相続財産を残さなければならない)が認められますので、実際にはパートナーが全ての財産を取得することは難しいです。
 また、法律上の相続人と間で遺言の執行について揉める事態が生ずることは容易に想定できます。そのため、遺言執行者を定めておくのもよいでしょう。この点も含めて、遺言の際には弁護士に相談するのがよいと思われます。
 なお、死亡保険金の受取人を内縁の配偶者にする方法も考えられますが、多くの保険会社は死亡保険金の受取人の範囲を配偶者または2親等以内の親族としているため、契約を拒否されることがあるため注意が必要です。
 

 
 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした。

投稿者: みずほ法律事務所

2013.04.01更新

会社を経営されている方々の中には、会社において重要な地位を占めていた従業員が退職し、その従業員が自社と同じ業種のライバル会社に就職した、あるいは同じ業種で起業したという経験があるという方も少なくないのではないでしょうか。
 この場合に、会社の重要な情報が流出してしまう、顧客を奪われてしまうという事態が起きてしまうと、会社に深刻なダメージが生じてしまいますので、あらかじめ対策を講じておく必要があります。
 具体的には、就業規則や個別の契約書の中で契約終了後にも競業避止義務が存続する旨を明確に定めておく必要があります。
もっとも、会社の利益保護だけを念頭に特約を定めることも妥当ではありません。従業員には退職後に自ら職業を選択する自由があるからです。競業の制限が合理的範囲を超え、従業員の職業選択の自由を不当に制限する場合には、その競業避止義務の定めは公序良俗に反し無効と判断されるおそれがあるのです。
ですから、労働者の職業選択の自由に配慮した合理的な範囲内の条項を設定すべきでしょう。
退職後の競業避止義務が合理的な範囲内にあるかどうかについて裁判所は概ね①使用者の正当な利益の保護の目的、②退職者の従前の地位③競業禁止の禁止期間、場所的範囲、対象職種、④代償の措置の有無を総合的に検討して判断しています。
 そこで、実際にどのような条項を規定すればよいか、トラブルが生じる前に弁護士に相談されることをお勧めします。

 以上、大阪の弁護士北畑瑞穂のブログでした。

投稿者: みずほ法律事務所